「ヴァンプ*ヴァンプ」2/3
EXPLICIT!!!
このおはなしには、大人の表現が含まれています。
18歳未満の方は、続きを読まないで下さい。
「くど……ちゃんと……聞かして……それはおまえも、俺を好きやって事?」
目の前の平次は、間に荒く息をつきながら、そう言った。額に、汗が滲んでいる。目も、何かの光を帯びていた。
『も』と、確かに、そう聞こえた気がした。幼なじみの彼女のものだと、ずっと思っていたその口が、確かにそう言った。
好きだ。誰にも渡したくない。誰にも触れて欲しくない。自分だけの物にしたい。ずっと、永遠に。
新一は自分も平次の頬に触れ、その顎の尖りに指をかけると、頷いてから、自分の唇に引き寄せた。
同時に、引き寄せられる。痛いほどの力。
舌が唇に、激しく割って入ってくる。
荒い息。
声をたてようと思うのに出来ない。恐いほどの強引さ。いつもの平次は、デリカシーがないようでいて、意外なほど気を遣う。これは、いつもの彼ではない。これが、ヴァンパイヤになった彼の部分なのだろうか。
平次の勢いが強すぎて、一歩ずつ後退っていく。頭が、壁に当たった。ガラス壁に突き当たったのだ。背後には、暗い街の景色。それ以上、動けない。
平次がやっと、唇を解放した。
「くど……工藤……好きや……好きや……ああ……もう、我慢でけへん……」
彼はこちらを折るような力で抱きしめ、大きく息をし、整えると、額どうしを擦り合わせた。
「ホンマに、ええの……?一生、化け物扱いされて、苦しい思いして、治らへんかもしれんし…………寿命がどうなるかも、解らへんのやで……それでも……?それでも一緒に、ヴァンパイヤになってくれんの?」
「ばぁか……お前、俺だけ先に死なす気か?俺は嫌だ……俺が死んだ後、おめーが誰かの首に吸い付くのも、おめーの中に、他の誰かの血が流れるのも……おめーが、その病気を俺以外の誰かに打ち明けるのも、誰にも言えず、孤独に生き続けるのも……」
平次の指が、こちらの額に手を当て、髪を梳きあげる。そして肩で息をしながら、やっとという感じの声を、絞り出した。
「……ホンマは……恐かった……独りでこの病気を抱える事が……誰かの血を飲まずに耐えていく自信も、なかった……おまえはそれを解って、全部、くれるんやな……ホンマに、おおきに……愛してる……」
彼が顔を傾ける。自分の首にあてがわれた彼の頭を、撫でる。
尖った物が、プツッと、皮膚を貫いた。唇と舌の感覚。ジュッ、ジュッ、と、音。コクリ、コクリと、液体を飲み下す音が、追いかけるように聞こえてくる。
自分の身体の一部が、彼の中に、広がる音。
自分の血が、彼の肉になっていくのだ。
混じり合って。
彼の中に、彼になる自分が居る。
自分が、彼の中に居られる嬉しさ。
やがて自分も、彼の血が欲しくなるのだろう。
好きになった初めから、彼の全てが、欲しかった。
彼に全てを与えたい事も、彼の全てが欲しい事も、同意義なのかもしれない。
頭と足の上下感覚が跳ぶ。膝の力が抜ける。
とっさに平次が腰を支える。
「……大丈夫か?くど……」
彼は自分の身体とガラス壁で挟むようにこちらの身体を支えると、まじまじと顔を見て、もう一度、キスしてきた。
血の混じるキス。鉄の匂い。彼のキスはだんだん熱くなって、血が足りないかのように、貪るように激しくなる。二人とも口の周りは、きっと血だらけだろう。
彼の右手はこちらの手首を握り、壁に押しつける。跡が残る、と思うほどの力。
また、気が遠くなる。血を抜かれたせいなのか、それとも、手首の痛さか、彼のキスのせいなのか、思考が回らない。
腰を支えていた彼の左手がスライドし、前下腹部へ。
初めての感覚。反射で身体が跳ね上がる。でも腕を拘束されていて、動けない。それが計算尽くだったように、その手は、ジーンズのボタンを外しにかかる。
「何すんだ……っ!止……めっ……外から……見えるっ……」
「おかしいなあ……血、だいぶもろたのに……ここに、こんなに……ジーパン、きつそうやで……?」
「今、停電直ったら、どうす……だめだって……はっと……」
彼は言葉は無視して、乱暴にこちらのジーンズを下ろすと、信じられない力でシャツの前を引きちぎり、胸に舌を這わせながら、左手は、下着の上から下腹部をさすりあげたり、屹立したそれを撫でたりして、いたずらに、動き回る。
「いきなり……こんな……や……めっ……」
抵抗したいのに、身体が泥のように重く、暗示にかかったように動かない。そのくせ、自分を這い回る舌や指を感じる感覚だけが研ぎ澄まされ、自分の許容量を超える感覚に、気を失いそうになる。壁に体重を預け、やっと立っている状態。その壁もガラスなので、妙に心許ない気がした。
平次が手首を離し、唇を胸から下に移動させ、両膝をついて、目の前にある持ち上がった下着の、頂点部分を見た。その部分にちょうど月明かりが当たり、見上げる彼の顔も右半分が照らされていた。その目が、こちらを見た。
「嫌やないやろ……?ここ、濡れて染みてんで…………見て、ええ?」
そう言いながら、彼はもう、こちらの下着を脱がせていた。ただでさえ目眩がするのに、ガラスの壁を背にして裸で立っている、その正面を、きっちり服を着た彼に間近に見られている、両方の恥ずかしさで、自分の意識を、もうはっきり掴めない。
「きれいや……くどう……」
彼はそのぬめった先を、指先でゆっくりと撫で回し、それから、先部分を上下にこそぎ上げる動きを、やさしく繰り返しながら、確かめるように、顔を上げた。こちらはみっともなく息が上がっていて、悔しい。
休み無く攻めつつ見上げた顔は、勝った、というように、ニイと笑った。
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